加拿大とアメリカのマネーサービスビジネス(MSB、通貨サービス業務)
アメリカの MSB は金融ライセンスに属し、すべての金融業界に対して適用されます。つまり、金融サービスに関連する業界であれば、アメリカの MSB を申請することができます。
カナダの MSB ライセンスは外国為替ライセンスに属し、監督範囲がより詳細に分けられています。
法規制と監督機関:
カナダ:カナダの MSB は「マネーロンダリングおよびテロリスト資金調達活動法」(AML/ATF 法)の監督を受け、カナダ金融取引・報告分析センター(Financial Transactions and Reports Analysis Centre of Canada、FINTRAC)によって監督・管理されます。
アメリカ:アメリカの MSB は「銀行秘密法」(Bank Secrecy Act、BSA)の監督を受け、アメリカ財務省の金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network、FinCEN)によって監督・管理されます。
登録とコンプライアンス要件:
カナダ:カナダの MSB は FINTRAC に登録する必要があり、AML/ATF 法で定められたコンプライアンス要件を遵守する必要があります。これには、大口現金取引や不審な取引の報告などが含まれます。
アメリカ:アメリカの MSB は FinCEN に登録する必要があり、BSA で定められたコンプライアンス要件を遵守する必要があります。これには、大口現金取引、不審な活動の報告、顧客デューデリジェンスなどが含まれます。
監査と報告要件:
カナダ:カナダの MSB は定期的に財務報告を提出する必要があります。これには、年次財務報告書や月次の大口現金取引報告書が含まれます。
アメリカ:アメリカの MSB は CTR(現金取引報告書)や SAR(不審な活動報告書)など、マネーロンダリングやテロ資金調達に関連する不審な活動を監視・報告する必要があります。
コンプライアンス要件の具体的な違い:
カナダとアメリカは類似の反マネーロンダリングおよびテロ資金調達のコンプライアンス要件を持っていますが、具体的な規定や基準は若干異なる場合がありますので、MSB は所在国の法規制に基づいてコンプライアンス操作を行う必要があります。
カナダの MSB 登録手続き:
書類と情報の準備:登録の前に、事業計画、組織構造情報、業務説明、株主情報など、必要な書類と情報を準備する必要があります。また、コンプライアンスオフィサーを指定する必要があります。
登録申請の提出:カナダ金融取引・報告分析センター(FINTRAC)に MSB 登録申請を提出する必要があります。これはオンラインで行うことができ、詳細な業務情報とコンプライアンス計画を提供する必要があります。
料金支払い:申請を提出する際に、関連する登録料金を支払う必要があります。
コンプライアンストレーニング:登録後、コンプライアンスオフィサーや従業員が反マネーロンダリングおよびテロ資金調達のトレーニングを受ける必要があります。
コンプライアンスポリシーと手順:AML/ATF 法の規定に準拠したコンプライアンスポリシーと手順を策定・実施する必要があります。これには、顧客デューデリジェンス、取引監視、不審な活動の報告などが含まれます。
定期報告:定期的に FINTRAC に財務報告を提出する必要があります。
アメリカの MSB 登録手続き:
必要な許可証の取得:事業の種類に応じて、金融サービスライセンスまたはマネー送金業務ライセンスの申請が必要な場合があります。
FinCEN への登録:すべてのアメリカの MSB は、アメリカ財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)に登録する必要があります。FinCEN Form 107 フォームを記入し、詳細な業務情報とコンプライアンス計画を提供する必要があります。
報告要件:アメリカの MSB は大口現金取引や不審な活動の報告が必要であり、現金取引報告(CTR)や不審な活動報告(SAR)の提出が含まれます。
コンプライアンスポリシーと手順:BSA に準拠したコンプライアンスポリシーと手順を策定・実施する必要があります。これには、顧客デューデリジェンス、取引監視、コンプライアンス報告などが含まれます。
定期的なトレーニング:コンプライアンスオフィサーや従業員は、反マネーロンダリングおよびテロ資金調達のトレーニングを定期的に受ける必要があります。